惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
「エリーゼが絡むなら話は別だ。万が一にでも本物だとしたら・・・そんな危険な事をさせる訳にはいかない」

 惚れ薬がどれほどの効果なのかは知らんが、エリーゼはただでさえ愛くるしく、男達を魅了してやまない存在だ。
 今は俺が、彼女に群がろうとする男共を近寄らせない様にしているから何も問題は起きてないが・・・

 果たしてエリーゼに、惚れ薬を使いたい相手がいるのかどうかは知らないが、万が一にでも惚れ薬を使って誰かがエリーゼを好きになってしまったら、その場で襲いかかられる危険もある。
 
 そんなこと、俺がさせるはずがない。
 というか、惚れ薬なんて名称で売られてるその液体自体がとんでもなく怪しすぎる。

「そう言うと思ったわ。・・・じゃあ、アンタが使っちゃえば?」

「・・・俺が・・・?」

 またこの女はさっきから一体何を言ってるのだ?
 前から頭のネジがどっか緩んでるんじゃないかと疑問ではあったが・・・ついに外れたか?

「ええ、これを使ってアンタがエリーゼを惚れさせちゃうのよ」

 エリーゼを惚れさせちゃう・・・?
 エリーゼが・・・俺を好きに・・・なる・・・?

「そ・・・そんな事が・・・出来るのか・・・?」

 ・・・落ち着け俺。惚れ薬なんて存在しないと自分で言ったばかりだろうが。

「ええ、エリーゼがあなたを大好きになっちゃうの」

 エ・・・エリーゼが・・・!俺を!!大好きだと・・・!?
 なんというパワーワードだ・・・!
 いや・・・いやしかし・・・だ・・・

「それは・・・エリーゼを欺いて惚れ薬で惚れさせるという訳だろ・・・?エリーゼを騙す様な真似とても俺には・・・」

「・・・アンタ今までどんだけあの子を騙してきたと思ってんの・・・?」

 ・・・確かに、エリーゼにいくつか嘘をついた事はある・・・。
 魔法の話もそうだし、それ以外にもエリーゼの不器用さを隠すためとか・・・しかし、どれもエリーゼの笑顔を守るためだった。
 今回の様に、俺の勝手な都合で騙すような事はしたくない・・・。
 
 何よりも、エリーゼに嫌われるような事はしたくない・・・。

「じゃあ、エリーゼの目の前で使えば?」

「・・・は?」

「まずこの惚れ薬の使い方だけど、飲んですぐに3()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の。つまり、あなたが飲んで、エリーゼと3秒間目を合わせたら、()()()()()()()()()()()()()()()()って事」

 もちろん、俺に惚れ薬の知識など全く無いから分からなかったが・・・そういう使い方なのか。

 飲んだら特殊なフェロモンでも発せられるとか・・・?

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