惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
 ルーカスはフッと笑い、すでに全てのボタンを外し終えたシャツを脱ぎ始めた。
 露わになる筋肉質な分厚い胸板とくっきりと浮き出る鎖骨の美しさに目が奪われる。

 なんて・・・エロい体をしてるの・・・?

 目の前に晒された肉体美に照らされて私の抵抗する力が弱まっていく。

「そうだな・・・確かに俺は早いかもしれん・・・だが、回数には自信がある。お前を満足してやれる」

「いや何言ってんの!!!?」

 真面目な顔してとんでもないことを言い出したおかげで、我に返った。
 しかしルーカスは止まらず、脱いだシャツを投げ捨て、私に覆いかぶさってきた。

「ちょ・・・あ・・・」

 スカートの下から太ももを伝うように伸びてきたその手が、私の下着に触れた。

 ・・・いやね・・・だからね・・・早いのよ・・・

 その瞬間、私の頭の中で何かがプツンと切れる音がした。

「こんのクソエロせっかち早〇野郎があああああ!!!!」

 自分でもビックリする様なはしたない罵り言葉が口から飛び出すと同時に私の右ストレートがその頬に決まり、ルーカスの体はソファーから投げ出された。

 その後の記憶はハッキリとは覚えていない。

 とりあえず薬を少しでも中和させようと、浴びるように水を飲んでもらったが、最後まで結婚か子作りかを譲らないルーカスを見て、私は貞操の危機を感じたので家から閉め出させてもらった。

 惚れ薬・・・怖っ・・・。
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