惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい

　いつもより早めの朝食を済ませた私は、村の隣にある森の中を散策しに出発した。

　というのも、昨日の深夜に何やら騒がしい音が森のほうから聞こえてきたからである。
　目が覚めた時には何の気配もしなくなっていたけど、何故か胸騒ぎがして、直接確認に行くことにした。

　この森は小さい頃からよく遊びに来ていて、今日の夢に出てきた場所でもある。
　大人になってからも、何かに悩んだ時や、時間がある時に時々フラッとやってきている。

　森の中は閑散としていて、時折聞こえてくる鳥のさえずりや、そよ風で揺れ動く木の葉がこすれ合う音が静かに響き渡っていた。

　こうして歩いていると、昨日の出来事がまるで嘘かの様だ・・・いや、もしかしたらあれはただの夢だったのかもしれない・・・

　ロマンス小説の読みすぎで、夢と現実をごちゃ混ぜにしてしまっている可能性もあるかも・・・あれ・・・？うん・・・なんかだんだん本当に夢だった気がしてきた！！

　だとしたら、かなり恥ずかしい・・・
　ルーカスの事が好きすぎてあんな都合が良い夢を見てしまったのだろうか・・・！
　次にルーカスと会ったときにどんな顔すればよいのだろう・・・！！

　再びグツグツと沸騰しだした頭の中を落ち着かせるためにも、私はこの森の中でも特にお気に入りの場所へと向かった。

　昔、よくルーカスとユーリと遊んでいた場所。
　そこに生えた大樹のおかげで大きな木陰ができて、休憩場所にはちょうど良い。
　よくそこで木登りをしたり、木陰で並んでお昼寝をしたり、傍にある大きな石に腰掛けて本を読んだり・・・

　・・・・・・あれ？