惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
「ひぃっ・・・ジルバート様!!ルーカス様を早く捕まえて拘束してくださいませ!!私はただの被害者ですわ!!」
なおもまだ被害者ぶり、涙を流すスカーレットにジルも呆れた様に頭を傾げた。
「うーん・・・それはなかなか難しいなぁ・・・。スカーレット嬢・・・ルーカスはね、君の父上のせいで職を失った人達に新しい仕事の斡旋をしたり、君のせいで傷を負った令嬢達が高度な治療を受けられるように支援したりしているんだよ。だから、ルーカスに感謝する人間は数知れない。彼を助けるためなら喜んで嘘の証言をする人間も現れるだろう。君達親子みたいに、大金を積まなくともね。」
「そ・・・そんな・・・!!」
「あと、君の父上も今頃拘束されてるだろうし、あの屋敷に戻っても君の居場所はもう無いだろうね。君がキツく当たってた使用人達の仕返しでも受けに行くかい?」
「あ・・・?あ・・・ああああああ!!!!」
スカーレットは耳障りな悲鳴とも言える叫び声を上げると、フッと事切れたかのように意識を失いその場に倒れた。
ジルはしゃがみこみ、スカーレットが本当に意識を失っているかを確認している。
「あれぇ、もうおしまい?もっと楽しませてくれると思ってたのに・・・ガッカリだなぁ」
心底残念そうにそう言うと、ジルは俺の方へ手を振りながら近寄ってきた。
「やあルーカス。私はてっきり君が怒り任せに死体を量産すると思ってたけど・・・あの剣はレプリカかい?」
ジルの視線の先には、先程俺が投げ捨てた刀身の曲がった剣があった。
「ああ・・・。エリーゼが怪我をしないように、屋敷内で目につく場所に置いてある武器は全てレプリカに代えた」
「・・・え?エリーゼ嬢がいるとそんな危険なことが起きるの?」
「ああ」
例えばエリーゼがふいに料理をしようとした時・・・食材を切れるものを探して、置かれている剣を手に取る可能性もある・・・。
その先は恐ろしくて想像したくないが・・・とにかく彼女の目の届くところに本物の武器を置いておくのは危険だ。
不思議そうな顔をするジルには目もくれず、俺はエリーゼの傍に歩み寄り、地面に横たわるその体をソッと抱き上げた。眠っているため力が抜けたエリーゼの体は気を抜くと俺の手からすり抜けてしまいそうだ。
俺はエリーゼをしっかりと自分の体に引き寄せ、大事に抱き締めるように力を入れた。
「あ、そうそう。さっき言い忘れたけど、明日の結婚式、皇室の立会人は私が行かせてもらうよ」
エリーゼを抱き抱えて歩き出した俺に向けて、ジルはそう言うとニヤッと笑った。
結婚式を行うには、皇室の人間の立ち会いが必要になる。ジルはこう見えて第七皇子でもあるため、その資格がある。
・・・が、個人的にコイツは呼びたくなくて別の人間に頼んだハズだったが・・・情報が漏れたか。
「・・・好きにしろ」
そうは言ったものの、結婚式の事など今は考える余裕はない。無事に挙げられるかも分からない・・・。
だが、今はそんな事よりもエリーゼと話をする事の方が大事だ。
エリーゼが俺の話を受け入れてくれるかは分からない。俺達の関係も、もう修復出来ないのだとしても・・・。
彼女に伝えなければいけない言葉がある。
俺はジルにこの場の後始末を頼むと、眠るエリーゼと共に俺の屋敷へと向かった。
なおもまだ被害者ぶり、涙を流すスカーレットにジルも呆れた様に頭を傾げた。
「うーん・・・それはなかなか難しいなぁ・・・。スカーレット嬢・・・ルーカスはね、君の父上のせいで職を失った人達に新しい仕事の斡旋をしたり、君のせいで傷を負った令嬢達が高度な治療を受けられるように支援したりしているんだよ。だから、ルーカスに感謝する人間は数知れない。彼を助けるためなら喜んで嘘の証言をする人間も現れるだろう。君達親子みたいに、大金を積まなくともね。」
「そ・・・そんな・・・!!」
「あと、君の父上も今頃拘束されてるだろうし、あの屋敷に戻っても君の居場所はもう無いだろうね。君がキツく当たってた使用人達の仕返しでも受けに行くかい?」
「あ・・・?あ・・・ああああああ!!!!」
スカーレットは耳障りな悲鳴とも言える叫び声を上げると、フッと事切れたかのように意識を失いその場に倒れた。
ジルはしゃがみこみ、スカーレットが本当に意識を失っているかを確認している。
「あれぇ、もうおしまい?もっと楽しませてくれると思ってたのに・・・ガッカリだなぁ」
心底残念そうにそう言うと、ジルは俺の方へ手を振りながら近寄ってきた。
「やあルーカス。私はてっきり君が怒り任せに死体を量産すると思ってたけど・・・あの剣はレプリカかい?」
ジルの視線の先には、先程俺が投げ捨てた刀身の曲がった剣があった。
「ああ・・・。エリーゼが怪我をしないように、屋敷内で目につく場所に置いてある武器は全てレプリカに代えた」
「・・・え?エリーゼ嬢がいるとそんな危険なことが起きるの?」
「ああ」
例えばエリーゼがふいに料理をしようとした時・・・食材を切れるものを探して、置かれている剣を手に取る可能性もある・・・。
その先は恐ろしくて想像したくないが・・・とにかく彼女の目の届くところに本物の武器を置いておくのは危険だ。
不思議そうな顔をするジルには目もくれず、俺はエリーゼの傍に歩み寄り、地面に横たわるその体をソッと抱き上げた。眠っているため力が抜けたエリーゼの体は気を抜くと俺の手からすり抜けてしまいそうだ。
俺はエリーゼをしっかりと自分の体に引き寄せ、大事に抱き締めるように力を入れた。
「あ、そうそう。さっき言い忘れたけど、明日の結婚式、皇室の立会人は私が行かせてもらうよ」
エリーゼを抱き抱えて歩き出した俺に向けて、ジルはそう言うとニヤッと笑った。
結婚式を行うには、皇室の人間の立ち会いが必要になる。ジルはこう見えて第七皇子でもあるため、その資格がある。
・・・が、個人的にコイツは呼びたくなくて別の人間に頼んだハズだったが・・・情報が漏れたか。
「・・・好きにしろ」
そうは言ったものの、結婚式の事など今は考える余裕はない。無事に挙げられるかも分からない・・・。
だが、今はそんな事よりもエリーゼと話をする事の方が大事だ。
エリーゼが俺の話を受け入れてくれるかは分からない。俺達の関係も、もう修復出来ないのだとしても・・・。
彼女に伝えなければいけない言葉がある。
俺はジルにこの場の後始末を頼むと、眠るエリーゼと共に俺の屋敷へと向かった。