惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
 深く考えずに言ったあの言葉を、ルーカスはずっと覚えてたんだ・・・。

「いつか貴族としての地位を確立したら、エリーゼを迎えに行く・・・そう手紙に書き綴っていた。それをエリーゼの家のポストに入れた・・・。それが何故無くなってしまったのかは分からない・・・。だが、大事な事は直接本人に伝えるべきだったんだ・・・」

 ・・・ってことは・・・ルーカスはあの日、本当は私を迎えに来てくれてたの・・・?
 私が待っていると思って・・・?

 だけど私は何も知らなかった。だからあんな態度を取って・・・。
 ルーカスもあの時に私が小指を失った事を知ってショックを受けて・・・本当に、私達はお互いを守るどころか、傷付け合っていたのね・・・。

「俺はいつもやり方を間違えてしまうんだ・・・今回の事に関してもだ・・・。もう知っていると思うが、あの惚れ薬は俺が用意して送った物だ・・・。ユーリが手に入れたという惚れ薬を使って・・・」

「うん・・・」

 それは知ってる・・・けど、ルーカスが最初から私を好きだったとしたら、惚れ薬を飲む意味は無い。
 私の推理は最初から間違ってたってこと?

 なんだか、だんだん自分の事が信じられなくなってきたわ・・・。

「それで偶然を装ってエリーゼの前で飲んだんだ」

 ・・・・・・。

「いや待って。なんでそこで飲むの?」

「え・・・?だから、エリーゼに好きになって欲しくて・・・」

 いや、だから・・・それでなんで飲むの?好きになって欲しいなら普通は飲ませる・・・ん?

「ルーカス・・・あなた惚れ薬の使い方って知ってる?」

「ああ。ユーリから教えて貰ったからな。惚れ薬を飲んで3秒目を合わせた相手が飲んだ奴の事を好きになるんだろ?」

 んん・・・?何その使い方・・・。
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