惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
「もしかして知らなかったのか・・・?ユーリはエリーゼも惚れ薬の使い方は知ってると言ってたんだが・・・」

 いや、知ってるけど・・・私の中で惚れ薬は、飲んだ人が最初に目を合わせた相手を好きになるって・・・。

 ・・・・・・。
 ・・・あ・・・ああ・・・あああああああああ!!!
 ユーリの奴!!!やりやがったわね!!!!
 私の知ってる使い方と逆の方法をルーカスに教えたって事!?
 なんで今まで気付かなかったの!!?

「でも安心してくれ・・・個人差はあるらしいが、もうすぐこの惚れ薬の効果は切れるはずなんだ」

 ・・・えっと・・・つまり・・・?

 ルーカスは今、私が惚れ薬の効果でルーカスの事を好きになってると思ってるってこと?だからさっきの私の告白は、惚れ薬によるものと思って私の本心だと信じていない・・・私がルーカスの告白を信じなかった様に・・・。

 というか・・・そもそも、惚れ薬は本物だったのかも怪しい。

「ねえ、ルーカスは惚れ薬を飲んで何か変わった事は無かったの?」

「・・・?いや、俺の方は特に何も変わった事はない。変わったのはエリーゼの方だろ・・・?」

 ・・・そう・・・そういうこと・・・。
 つまり・・・惚れ薬は()()()()()()()()()ってことね。

「はあぁぁぁ・・・」

 私は大きく溜め息をついて頭を抱えた。
 
 そうね・・・確かに好きな相手に3秒も見つめられたら顔も赤くなるわよ。それを見たルーカスが、惚れ薬の効果で私がルーカスを好きになったと勘違いしたわけね・・・。

 ユーリ・・・上手いこと考えたわね・・・!
 何の効果も無い偽物にここまで振り回されるなんて!!

「本当にすまない・・・エリーゼに嫌われても仕方がないと思ってる。だけど俺は・・・ずっとエリーゼの事が好きだったんだ・・・初めて会ったその日から・・・その気持ちに嘘偽りは無い。それだけはどうか信じて欲しい」

 ルーカスは目線を落とし、何度目か分からない謝罪の言葉を口にした。

 惚れ薬は偽物だった・・・。つまり、ルーカスが私に言ってくれた言葉や、私への態度は惚れ薬によるものじゃなくて、ルーカス自身の言葉だった・・・ってこと?

 「好きだ」と言ってくれた告白も・・・胃がもたれそうな甘い言葉も・・・愛しそうに見つめてくるあの熱い視線も・・・。

 その事に気付くと同時に、じわりじわりと私の心をくすぐるように実感が沸いてきて、ぶわっと体の温度が急上昇した。脳内も沸騰しそうだ。だって・・・

 つつつつつつまり・・・私達はとっくに最初から両想いだったってこと・・・!!!?
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