惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
「それはもちろん、俺とエリーゼの愛の巣の大黒柱に使うためだ」

 優しい笑顔を浮かべながら、ドヤっと意気揚々に答えたルーカスの言葉に私の涙は引っ込み、先ほどまで私の体の中で渦巻いていた怒りは消えていく。

「・・・・・・」

 愛の巣ってなに・・・?大黒柱・・・?
 一体この男は何を言って・・・って・・・愛の巣って・・・二人の住む家ってこと!?
 その大黒柱にこの木を使うために切り取ったって事!!?

「はあああああああ!!!?何勝手に私達の家を建てようとしてんの!?結婚もまだしてないのに、早すぎるでしょうがぁ!!」

「いや、早くない。家の木材にするには、切ってから数ヶ月・・・長ければ1年程乾燥させる必要があるんだ。むしろ遅すぎたぐらいだ・・・くそっ・・・もっと早く準備しておくべきだった・・・!」

「そういう事を言ってんじゃないわよ!!」

 本気で悔しがるルーカスに私は呆れるしかない・・・。

 ・・・が、実は気になってる事はもう一つある。
 私は嫌な予感がしながら、それに関する質問をルーカスにした。

「ねえ・・・じゃあ、ここにあった石は・・・?あの大きいやつ・・・」

 私がよく腰かけて本を読んでいた石・・・それもここには見当たらない。

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