惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
「ああ、あれは俺達の将来の墓石用のために、首都にある俺の屋敷の倉庫に厳重に保管している。いずれ生まれるであろう俺達の子供に託さなければいけないからな」

 ・・・なんですと・・・?
 子供・・・?墓石・・・?え、私達のお墓ってこと・・・?

 私は走馬灯のように頭の中で結婚からの出産からの子供との楽しい一時が巡っていく。
 家の大黒柱に子供の成長の印である身長の高さを刻み・・・成長した子供の結婚、孫の誕生・・・そして老い、家族に見守られながら息を引き取り、あの墓石の元へ・・・そんな映像が頭の中で再生されて我に返った。

 ・・・え・・・?
 いま脳内で一生を終えたわ・・・

「いや、なんでよ・・・?ちょっといろいろ追いつかないんだけど・・・」

「大丈夫だ。俺達の思い出の場所は、これからも俺達の住処としていつまでも共にある。」

 何が大丈夫なのだろうか・・・?
 あなたの頭が一番大丈夫じゃなくないか?

 これはもはや惚れ薬の効果が切れるまでとか悠長な事は言ってられない。
 ルーカスの判断力と行動力の速さは尋常じゃない・・・
 それはいつもの事なんだけど・・・惚れ薬の影響か、なんだがいつも以上にぶっ飛んだ速さで色々進んでいってしまっている!!

 昨日惚れ薬を飲んでまだ1日しか経っていないのに、すでに彼の中では新居から死後の住処までのライフプランがすでに完成されてしまっている。
 そのうち転生後の話とか言い出しそうな勢いだ。

 私はクラクラする頭を押さえながら深いため息をついた。
 なんだか昨日と今日で、一生分のため息をついた様な気になってきた・・・
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