惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
 そう言うとルーカスは私の腰に手を回すと、力強く私の体を自らに引き寄せた。

 おいこら、ここ外・・・ていうか・・・

「だからなんで今すぐ結婚か子供を作るかの2択になるのよ!!待つって選択肢は無いわけ!?」

「こういうのは早い方がいい」

 そう告げたルーカスの表情はいたって真剣だ。
 私の体を抱きかかえるようにしてそっと倒すが、私の体が地面につかないように配慮し、片膝を立てて、そこに寄りかかるように寝かされる。

 その行為は同意を得ないまま襲い掛かろうとしているだけなのに、顔が良いだけでどうしてこんなに絵になるんだろうか・・・じゃなくて・・・

「良くないわ!!」

 私は叫ぶと同時に、近寄ってきたルーカスの顔面に頭突きをかました。
 ルーカスの手が緩むと、私はすり抜ける様にその腕から脱出し、距離を取った。

「とにかく、惚れ薬が切れるまではこういう事は一切禁止だからね!!次やったら今度こそ絶対に絶交だから!!」

 ヒリヒリするおでこをさすりながら、私はルーカスに指を突き付けて警告した。
 ルーカスも手で顔を押さえ、震えながら痛みに耐えている。

 ・・・が、何かに気付いた様にピタリと震えが止まり、顔を上げて私を真っ直ぐに見た。

「・・・切れたら良いのか・・・?」

「そりゃあ切れたら・・・・・・じゃなくて・・・そ、それより仕事はどうしたのよ!?首都に行かなくていいの!?」

 あっぶな!何今の誘導尋問は!!
 話を思い切り摩り替えた私に、ルーカスは一瞬不服そうな表情を見せたが、ため息を小さくつくと口を開いた。

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