惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
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 いや・・・行かんの・・・?
 首都へ行くんじゃないの・・・?

 先程からルーカスは全く動く気配がない。

 ・・・まさか私が一緒に行くって言うのを待ってるの・・・?
 さっき「遠慮する」って言ったら「分かった」って言ったよね・・・?
 全然分かってくれてなくない・・・?

 ・・・っていうか、そこは待つの・・・?
 せっかちはどこ行ったの・・・?

 私は痺れを切らしてルーカスに声をかけようとした時、ある考えが頭をよぎった。

 首都には惚れ薬を送り付けた張本人・・・ユーリが住んでいる。
 ということは、首都に行けばユーリに会える・・・そしたら惚れ薬の事についても聞けるし、その効果時間も分かるかもしれない。
 決して首都デートがしたいからとかではなくて、今のこの状況を打開するには最善の方法だと思う。よし。
 そうと決まれば・・・!

 ・・・この流れで言いたくはないけど・・・

「やっぱり一緒に首都へ行きましょう!」

 私の言葉に、ルーカスは特に驚いた様で、目を見開いて私を見つめ、歩み寄ってくる。

「エリーゼ・・・ついに俺と結婚を・・・」

 私は一瞬前のめりに倒れかけたけど、そこをどうにか踏ん張った。

「いや、結婚はまだしないから。首都に行くだけだから」

 私の言葉にルーカスは歩んでいた足を止め、口元に手を当てて考える様なそぶりをした後、顔を上げた。

「それは・・・俺とデートをしたいという事だろうか?」

「そ、そうね・・・それも悪くないわね」

 ・・・あくまでも私の目的はユーリに会いに行く事なのだけど・・・首都までの道のりは長い。
 そういう楽しみもあった方が、ルーカスの疲れも軽減するかもしれない。
 案の定、ルーカスはパッと喜びに笑顔を散らせた。
 いつもの無表情男はどこへ行ったのか・・・昨日から表情筋が崩壊している。

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