惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
 それにしても・・・首都の街中を手を繋いで歩く男女・・・まるでデートみたい・・・いや、デートになるのかな・・・?
 他の人から見たら、私達は恋人同士に見えてたり・・・。

 しかし、私はここであることに気付いた。

 もともと首都に来る予定なんてなかったので、着の身着のままで来てしまった私は、あまり身なりの良い服を着ていない。
 それどころか、今着ている服は森の散策中に木の枝にひっかかったりして、あちこちほつれてボロボロになっている。
 とんでもない場違いな服装で来てしまった・・・だんだん恥ずかしくなってきた・・・!

 それに比べてルーカスは皺ひとつ付いていない純白のシャツの上に褐色のジャケットを着こなし、スラッとした足を長く見せる漆黒のズボンに皮のブーツ・・・そして何よりのイケメン補正・・・!
 あれだけ長い時間馬に乗って移動していたのに、服装も全く乱れていない。
 機能性抜群過ぎない・・・?

 しかしそんな2人が手を繋いで歩いてたら、貴族の男が物乞いしてた女を保護した様に見られるんじゃないだろうか・・・?

「エリーゼ、ここに入ろう」

 恥ずかしそうに俯いている私を気遣ってくれたのだろう。
 ルーカスが最初に入ったお店は女性向けの衣料品店だった。が・・・

 ・・・私、お金を全く持ってきてないのだけど・・・。
 しかもここ・・・めちゃくちゃ高そう・・・。

 そのお店の中に並ぶドレスの華やかさに、普通ならばテンション爆上がりで食い入るように見て回るのだけど、自分が支払いをする事を考えると、何故こんなにも悪寒がするのだろうか・・・。

 ・・・いや、どう全財産をひっくり返しても買える物がないと思う。
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