惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい

「この惚れ薬って本物だったのね・・・」

 私はそう呟くと、ルーカスの隣に座り、空になった小瓶を見つめた。

「あ、ああ・・・そのようだな」

 ルーカスはそう言うと、再び私の方を覗き込むようにジッと見つめてくる。
 いくら惚れ薬の効果だと自分に言い聞かせていても、そんな目で見つめられてしまったら・・・

「エリーゼ・・・俺の事、好きか?」

「・・・ふぁ!!?」

 ルーカスの言葉によく分からない声が自分の口から放たれると同時に全身の体温が一気に急上昇した。
 人間の体温ってこんなに上昇するものなのか・・・と謎の感心をしたところで私の思考は停止した。

 異常なまでに上昇した体温のせいか、視界はグルグルと回り、パクパクと口は無意味に動いているだけだ。
 ・・・というか、これでは私がルーカスを好きだと全身で表現している様なものだ。

 そんな私の反応を見て、ルーカスは目を細め、幸せそうな笑みを浮かべると、膝に置いていた私の手をギュッと握った。

「エリーゼ・・・明日・・・いや、今から式を挙げよう・・・今すぐに教会に行って神に誓いを立てよう」

「ちょっと待てぃ!!」

 再び発せられたルーカスの結婚宣言に私は我に返り、間髪入れずにツッコミを入れた。

 いや、さっきの反省はどこいった・・・?
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