惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
「先程は失礼致しました、エリーゼ嬢。私は皇室直属騎士団に所属する騎士で、ジルバートと申します。どうぞ、私の事はジルとお呼びください」

 丁寧に挨拶するその姿に、思わず見惚れ・・・ん?
 皇室・・・?直属騎士団・・・?
 って・・・めちゃくちゃすごい人じゃん!!
 数多くの騎士団がある中、皇室直属騎士団って精鋭揃いの最高峰の騎士団じゃん・・・!!
 そんなすごい人がルーカスと一体どういう関係なのだろう・・・?

「は、初めまして・・・。よろしくお願い致します・・・ジル・・・さん・・・」

 私も先程と同じように深々と頭を下げ、改めてジルさんに挨拶をした。

 そして再び頭を上げた時には、すでにジルさんは紳士的な態度ではなく、興味深々に目を輝かせながら私を見つめていた。

「さあ、お互い堅苦しい挨拶はこの辺にしておこうか。あの様子だとルーカスはすぐに戻って来そうだし、私達も早く応接室へ行って話をしよう」

 踵を返し軽快に歩き出したジルさんの後ろを、私とダンさんが続いた。

「それにしても、ルーカスのあんな姿が見られるなんて・・・騎士団の奴らにいい土産話が出来たなぁ」

「程々にしとけよ・・・てか、長いよ。部屋に入るまでが・・・2人とも・・・」

「あはは!君もすっかりルーカスのせっかちが身についたみたいだねえ・・・」

 そんな会話を気兼ねなくするジルさんとダンさんも、きっと気心の知れた仲なのだろう・・・。
 
 ルーカスの騎士時代・・・。
 予想もつかなかった彼の過去が明らかになった。
 彼は一体、何を思って騎士になったのだろう・・・?
 そしてなぜ、騎士を辞めたのだろう・・・?

 そんな疑問を胸に抱き、私は2人に連れられて応接室へと足を踏み入れた。
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