私の大好きだった人
母達は車を用意していたので

玄関を出たとき

「また帰ってきます。この家に」と

言った。その言葉に

全員が泣いてしまった。

だって生きて帰ってくる確立が

少なく、無言の帰宅になりそうな

事ぐらい皆が分かっていた。

しかし、その事は絶対に口に

出せない。出したら怖かった。

私達は車に乗り込んで

病院に向かった。

正典は私の手をずっと

握っていた。離すことが

出来ないくらいに握っていた

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