優しく残忍な人。
「総司、君に頼みたい。」

介錯を私にしろと?

私は大好きな方を殺すために

刀を握っているんじゃない。

守るために握っているんだ。

「····出来ません。」

「頼む。」

そんな顔をされたら断れない。

私は頷いた。

「ありがとう。」

次の日、山南さんは切腹した。

私に最後の言葉を遺して。

“お千代さんと幸せに。”
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