優しく残忍な人。
私の事がそんなに嫌いになるなんて。

「私は···何かしてしまいましたか?」

総司さんに

何をしてしまったんだろう。

「····いいえ何も。」

「ならどうして·····!」

「とにかく、お父上には

お話しましたので。」

いつもの彼とは思えない

冷たい表情に冷たい声。

「そんな·····。」

涙がこぼれた。

けれど彼が涙を

拭ってくれることはなかった。

「·····お千代さん、さよなら。」
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