優しく残忍な人。
「昔、母さんと話したんだ。

長男でも次男でも、

店なんか継いでくれなくていいんだ。

ただお前を守ってくれる人。

それだけでいいんだよ。」

頭を撫でてくれる父の大きな掌。

私は涙が溢れた。

父も母も私のことを

大切に想ってくれている。

母にはもう何も出来ないけれど

父には親孝行をしたい。

「ありがとう。

大切にしてくれてありがとう。」

今はまだ感謝の言葉しか伝えれなかった。
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