優しく残忍な人。
「これの事か?」

一さんは袖を捲って

聞いてきた。

「は、はい!」

傷を見つめ

一さんは黙ってしまった。

「聞いては駄目でしたか·····?」

駄目なら無理には

お聞きしたくない。

「いいや、駄目ではない。

聞いてくれるか?」

私は頷いた。

一さんのことを知れる。
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