愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
「僕のことまで、心配してくれてありがとう」
「いや、心配って……そんなの当たり前……」
「春香の性格からして、未成年の僕とホテルで一夜を明かすなんて無理そうだね。僕は他の寝床を探すから、春香はここに泊まっていきな」
「え?」
「それじゃ、短い時間だったけど話せて楽しかった。またね」
ユキはコートを着ると、私をベッドに座らせにこりとキレイに微笑み、ドアに向かって歩いていく。
「(ま、待って。これおかしくない……?)」
私が出ていくなら分かる。ここに連れてきてくれたのはユキだから。
……ユキが雪の降る中、出ていく必要なんてないのに。
きっと、私がなにも持っていなくて、行く場所もないことを知っているからだ。
「(私、なんて情けないことをしているの……?!)」