愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
糸が解けていく。
《ユキside》
寝付きが悪い。
春香の寝顔を眺めながら、先程起きたことを思い出し、何度目かわからない溜息を吐く。
「……ずっと、一緒に居てほしいか」
毛布からはみ出た春香の手に自分の手のひらを重ね、たまたま聞いてしまった本音を繰り返す。
春香が路地裏で僕を突き放した時、言葉を繋ぐ春香自身がすごく傷付いた表情をしていた。
感情のまま動いてしまったことを後悔してしまうほど、春香の言葉に納得せざる得なかった。
『私達は、一線を越えてしまったら一緒にはいられないのよ……?』
僕が子供で、春香が大人だから。僕が、守られるべき存在だから。
────今のままの僕じゃ、ダメなんだ。
分かっているのに、もう抑えが効かなくなるほど春香への気持ちが育ってしまった。
困らせたくないのに、傷付いた顔をさせたいわけじゃないのに。
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