愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




「ユキ、買い物付き合ってくれてありがとう」
「別にいいよ。今日はお米?」
「ううん。今日特売だからたくさん買い込みたいの」
「そっかぁ、今日はシチューがいいな」
「シチューは先週食べたでしょ?」
「えーー」



 ユキは私が抱き付いてしまってからも、それがなかったかのように普通に接してくれる。
 私もまた、普通に接するように努めた。


 スーパーまでのアーケード街を並んで歩きながら、白い息を吐く。
 モッズコートにマフラーを巻いて、鼻先を赤くしたユキは楽しげに目尻を下げる。



「(シチューか、だったらビーフシチューとか……。)」



 今日の晩御飯を考えていると、不意に見知った顔が目の前から歩いてくるのが見えた。



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