愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
「(私は、誰に許されたかったんだろう)」
世間? 常識? 私を雁字搦めにするそれらは、本当に正解なの?
この子の気持ちを蔑ろにしてまで守っている境界線って、何?
「――――分かった」
少し上擦った声が聞こえた。
そしてユキは身体の向きを変え、玄関のドアの向こうに消えて行く。バタン、ドアの閉まる音を聞き、その場にへたり込んだ。
追いかけることができなかった。
今行けば間に合うのかもしれない。でも、それだけはできない。
自分を押し込めるように、両腕で身体を抱きしめ蹲る。