愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜



 秀人に連れられ、駅近くの大きな運動公園のベンチに二人で腰を下ろす。
 公園内の木々が沢山の電球でライトアップされていて、それを見て純粋に感動し、ため息を漏らしてしまう。



「お前は、イルミネーションが好きだったな」
「え?」
「付き合っていた時から、変わらないのか?」
「……そうね」



 秀人と付き合っている時、よく二人でイルミネーションを観に行った。
 デートであまり行き先や自分の希望を伝えなかった私でも、イルミネーションが観たいと秀人に強請っていた。


 まだ覚えていたんだ。
 記憶が蘇り、隣に座る秀人の顔を見上げる。イルミネーションで照らされた秀人の表情は、あの頃と変わらず何を考えているか読めなかった。



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