愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
「春香が何を考えているか、分からなかった」
「……」
「何を決めるにも決定権はいつも俺で、春香が意見を言うなんてところを見たことがなかった」
「……それは」
「日に日に不安になっていった。本当に春香は俺のことが好きで付き合っているのかと」
いつもピンと張っているような秀人の声色が、頼りなさげに揺れている。こんなことは初めてだった。
「春香の本音を聞けるかもしれない、という浅はかな気持ちで別れを告げた」
「……そ、うだったの」
「一種の賭けのようなものだった。負けてしまったが……俺が悪いな」
思えば、秀人は友人の結婚式で初めて出会った時から変わらない。
二次会で酔った新郎側の友人に絡まれ今にもキレそうだった私を、秀人がその場の空気を壊さないように助けてくれたことが始まりだった。
連絡先を聞いてくれたのも、告白してくれたのも秀人だ。