愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜



 私は、それに甘えていただけで……自分から動いたことはなかった。
 勝手に臆病になって、過去の心の傷を言い訳にしていたのは私だ。



「(私は……自分から秀人を好きだと言ったこと、なかった)」



 秀人のため、秀人が好きだからと、相手を優先して自分を出さなかった。
 それがその時の最善だと思い込んでいた。言葉にしないことが、どれだけ彼を苦しめているか気付けなかった。


 イルミネーションがキラキラと私達を照らす。何があっても微動だにしない、芯が真っ直ぐで優しかった彼の本音に、身体の芯に静かに熱が灯る。



「再会して、春香が俺と付き合っている頃と雰囲気が変わっていて驚いた」
「それは……人は変わる生き物だから」
「同時に、変える努力をしなかった自分に腹が立って仕方がなかった」
「……」



 秀人と付き合っていた時の、様々な感情がリフレインする。



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