愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
もういい、いいよね。何が正しいかじゃない、私は私の進みたい道へ進んで、自分のしたいようにして。
────いいよね? ユキ。
「春香?」
「ごめんなさい、秀人」
「……え?」
「私、秀人の気持ちには応えられない」
「……」
立ち上がり、ベンチに座る秀人を真っ直ぐに見つめる。下唇が震えた。だけどこれは寒さのせいじゃない。
────ずっと、苦しかった。
きっとどこに進んでもこの苦しみは変わらない。平行線はずっと平行線のまま、交わりはしないと思っていた。
あの子を正しい道に導いてやらなくてはと、正しいふりをしていた。
……だけど、もし神様がいて、例え一瞬でも平行だった二本の線が交わる瞬間をくれるというのなら。
例え最後に一人になってしまったとしても、私はあの子と────。
「私、好きな人がいるの。だから……行かなくちゃ」