愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
『ユキ、どこにいるの?』
帰りの電車の中でメッセージを送る。あれ以降帰ってこないユキにする初めての連絡だ。
ガタン、ガタン。一駅、二駅と電車は進んでいく。
景色は徐々に自分の住む街へと姿を変えていった。しかし、一向にメッセージには既読がつかない。
「(……そりゃ、そうか)」
私はユキの真剣な告白をあんな風に傷付け切り捨てたんだ。
例えそれが、あの時の自分にとって最善だったとしても許されないだろう。
自分の気持ちを受け入れてくれない相手と一緒に暮らす。それがユキにとってどれほどの苦しいことなのか、受け入れられず想いを募らせていた私には分かってしまう。
────自分の想いを、世間体に縋り踏みにじった私を、ユキはまだ想ってくれているのだろうか。