愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜



 ザリッ、駅前のボコボコしたコンクリートが鳴った。
 それは私が弾かれるようにその場から駆けたからだ。



「────ユキ」



 何も私を止めるものはなかった。
 勢いのまま、真正面からユキの頭を抱き込み、その存在を確かめるように力を込める。



「はる、か」



 少し遅れて、弱々しい声が私の鼓膜を震わせる。
 それだけで堪らなくなり、謝りたいと考えるよりも先に言葉と涙がこぼれ落ちていた。



「────き」
「……」
「ごめんなさいユキ、あなたが、すき」



 ────傷付けて、一人にしてごめんなさい。



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