愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
私の口から零れ落ちた言葉は、耳鳴りがするくらい静まり返った雪降る夜に溶けていく。
ユキは無抵抗に私に頭を抱かれていたが、しばらくして私の両肩を押して引き剥がすと、信じられないものを見る目で私と視線を合わせた。
ユキの透き通るような瞳と視線が交わり、余計に涙が溢れる。
「春香、なんで……?」
「ユキこそ、なんでこんなところにいるのよ……!! 私が来なかったらどうするつもりだったのっ……?」
「……最初は、一人でホテルを転々としてたんだけど……ずうっと春香のこと考えてたらここにたどり着いてて」
「っ」
「……ここは、春香と初めて出会った場所だから」
何かが込み上げてきて、喉元がグッと詰まる。
ユキの身体はとても冷たい。どれだけの時間ここでこうしていたんだろう。