愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
「────それよりも」
「……」
「好きって、聞こえたんだけど……」
「……あ」
「……本当に?」
眉を僅かに下げ、不安と期待が入り混じったような表情で問われる。
あれだけ拒否しておいて都合よく現れ、想いを伝えられても意味が分からないだろう。
冷静になるため、私は涙が溜まっていた目をゴシゴシと拭き、瞼を閉じて深呼吸をする。
「……私は、大人よ。だからユキを預かっている以上、ユキの気持ちには応えられない……それが世間が言う、正しい大人としての私の答えだったの」
「……」
「それが自分自身の意見だって、考えだって……ずっと自分に言い聞かせてた。そうしないと、気持ちがいうことをきかなくてどうにもならなかったの」
「……春香」
「でも……私は」
────私は……。
「本当は、ずっとずっと……ユキのことが好きだった」