愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
僕達はずっと側にいたのに、ずっとお互いから目を逸らしていたんだ。
大切な人を急に失った恐ろしい過去を掻き消すように、思い出さないように、お互いが別の方向を見ていた。
あの日、交通事故で死んでしまったお父さんは、こんな不器用な僕達を見たらどう思うのだろう。
仲良くしろって、怒られそうな気がする。
そう思うと、自然と僕は椅子から立ち上がっていた。
ギシリとフローリングの床が鳴る。そのままお母さんの横に膝をつき、恐る恐るその背中に触れた。
二、三度その手を上下させ、優しく摩る。
「……大丈夫、もういいよ」