愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
昼過ぎに着いたのに実家を出たのは夕方5時だった。
春香の待つアパートに帰るため、古びた無人駅のホームに立つ。
春香にマフラーをしていけと言われたのに、突っぱねたことを後悔するくらい、肌に触れる空気が冷たい。
モッズコートのポケットに手を突っ込み寒さに耐えていると、反対側のホームに僕の通っている学校の制服を着た女子が立っていた。
「────学校、行かないと」
自然と出た言葉にハッと息を飲み、口元を手で覆う。