愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
────今日は、ユキが家に帰る日だ。
今までの気持ちを洗いざらい伝えたユキに、お母さんも同じように気持ちを伝え、涙を流しながら謝ってくれたらしい。
全てのわだかまりが解消されたわけではないけど、ここからは家族の問題だ。
ユキは家に帰ることを自分で決めた。
あの時の、ずっと背負っていた重りから解放され、一つ大人になったようなユキの表情を忘れられない。
キッチンに立ち、冷蔵庫からウインナーを出して炒め始めると、寝室のドアが開いた。
「ユキ、おはよう」
「……おはよう」
ユキはキッチンに立つ私を見つけると、眠たげな表情を緩めて笑った。
それだけで寂しくなって視界が潤む。それを隠すように私はフライパンを見つめた。
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