愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




「はるか……」



 とん、と背中からユキが抱きついてきた。そして私の肩に額を埋める。
 私の耳元でユキは、はぁ、と熱っぽいため息を吐いた。



「春香、好き」



 甘ったるい声がした。
 思わず水道の水を止め振り返る。すると、至近距離で熱を閉じ込めた宝石のような瞳と視線が交わった。


 誘われるように、私はユキの陶器のような頰に手を這わせてしまう



 ────キスがしたい。



 そう思ってしまった。
 しかし、熱を帯びたこの空間を断ち切ったのはユキだった。



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