愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
「僕の名前さ、本当はユキじゃないんだ」
「……は?」
突然の暴露に目を見開く私を、ユキはしっかりと見つめている。
そして、少しの間を置いて、言葉を繋いだ。
「『幸せに成る』で、幸成」
「……」
「ずっとこの名前が嫌だったんだ。幸せになんて僕は絶対になれないのに、なんでこんな名前なんだろうって、ユキって名乗ってた」
「……ゆき、なり」
「でもね、春香に出会えて……この名前も悪くないって思えたんだよ」
「……」
「春香が、僕に全部をくれた」
少し恥ずかしそうに、だけどとても満たされた表情でユキは笑う。