愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜



 ちなみに、何故か彼のお誘いスルーにエンカウントし、遠回しにフラれた相手に引き止められるまでが本当の私の恒例行事である。


 見た目も地味だし性格も明るいわけではない。
 そんな私にお声が掛かる理由はただ一つ。



「ユキくんの連絡先、教えて? 同期なら新入社員の時に交換してるでしょ」
「すみません。私入社してから一度スマホが壊れて、連絡先全部消えてしまったんです」



 そして私は毎回この発言をする。
 すると大体の女子は引き下がってくれる。マドンナさんも美人な顔を歪め、コイツ使えねーという心の声を隠そうともせず、すぐに私から視線を外し化粧直しを始めた。


 私はそんなマドンナさんから逃げるようにトイレから出て、やっと一息つく。



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