愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
仕事の帰り道、私は考え事をしていた。
もちろん彼の言った、もうそろそろの意味を考えていた。
なに? もしかして仕事を辞めちゃうとか?
あんなに業績いいのに?
それともそろそろ寄ってくる女子がうざいから、一言言ってやるとか?
いやそれは彼の今までの積み重ね的にない。
何にしろ、私がもう同期だからといって妙な苦労をしなくてよくなるなら良いのだが……。
それにしても、彼にあそこまで言わせる恋人がどんな人なのかが気になる。
恋人の存在を明かして、他人に少しでもその価値を傷付けてほしくはないという徹底ぶりだ。
彼の恋人なんだから、きっと相当美人なんだろう。
そんなことを考えながら、交差点の信号が赤になったタイミングで立ち止まる。
しかし、次の瞬間背中に衝撃が走り、私は前のめりに思い切り転んだ。