愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
ギリギリ道路に飛び出さなくて済んだけど、あと数センチ倒れる場所が違えば死ぬところだった。
「痛いっ……」
「ボーッと突っ立ってんじゃねぇよ!」
「はい?」
膝の痛みに立ち上がれずにいると、頭の上から男の声が降ってきた。
見上げると、酒臭いサラリーマンが舌打ちをしながらこちらを見下ろしている。ぶつかったのはこの男らしい。
謝る気配もなく、自分は悪くないと思っているようだ。
周りの人達も巻き込まれたくないらしく、見て見ぬ振りを貫いている。
これは、私が立ち上がってここを退けばとりあえずこのサラリーマンも満足だろう。
別に平気。地味な見た目から、こうやってナメられることにも慣れているし。
────そのときだった。