愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
「っ……!!」
目の前を、キレイな銀髪が横切ろうとしている。それはさっきまで私が考えていた人物がもつ特徴そのもの。
高い身長にモッズコートを着た、雪のような白い肌に、人目を引く日本人離れした目鼻立ち、エメラルドグリーンの瞳。
ユキもまた、私の存在に気が付き、目を一瞬見開いた。
「ゆ……」
名前を呼ぼうと口を開く。寝床は見つかったのか、あの朝どうして姿をくらましたのか。聞きたいことが山ほどあった。
なのに、一瞬合った視線はすぐに外される。
「えっ……ちょっと」
人混みに紛れ遠ざかっていくユキに、動揺を隠せない。開こうとした折りたたみ傘を片手に固まる。
心に、じわりと寂しさが広がった。