愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
『どう? 僕の彼女、めちゃくちゃ良い女でしょ?』
そう聞こえてきそうな自慢げな笑みに、私は膝の痛みを忘れて思わず吹き出してしまう。
「ぶっ……ふふ」
「え、だ、大丈夫? そんなに痛い?」
「いえ、あのっ……」
「春香、彼女僕の同期」
「へっ!?」
私の顔を覗き込んでいた女の人は飛び上がる。それを彼は楽しそうに見ていた。
すごく美人ではないし、何なら彼に迫る女の人達の方がキレイだ。
けど、この人は中身がすごくすごく魅力的なんだろう。
だって、初めて出会った他人の為に、あんなにも怒ってくれる。
正義感もあって、きっと優しくて温かな人。
────まいったな。彼の彼女、本当に、すごく良い女だ。
仕方ない。
助けられた恩返しに、もう少しだけ彼の連絡先死守に付き合おうじゃないか。
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