愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
「……当たり前だよね」
たった一晩、ユキにとっては一緒に過ごしてきた沢山の人間のうちの一人。
向こうは他人として、もう割り切っている。話しかけられるのも迷惑なんだろう。
もしかしたら、私の名前も覚えてないかも。
その場から早く立ち去ろうと、ユキから視線を外そうとした、その時。
「え……あそこって」
大通りの一角にあるビル、そこにユキが入ろうとしているのが見えた。入り口に知り合いがいたのか、軽く談笑をしている。
でも、あのビルって……確か、居酒屋とか、バーくらいしか入ってなかった気が……。