愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜



「ユキ、あなた居酒屋かバーに入ろうとしてたでしょ?」
「うん。それが?」
「そっ……それがって!! 未成年なのにダメじゃない!」
「あそこに行くと、大体寝床が見つかるから」
「……酒に酔ったような相手と一晩一緒にいたらどうなるか、分からないの?」
「――――分かってるに決まってるでしょ」



 私の問いかけに、ユキの顔から笑顔が消えた。
 そして私の言葉に反抗するように、話を続ける。



「それでも、一人で居るよりはずっといい」
「……危険な目に遭ったとしても?」
「春香には分からないよ。一人で生きていける人間には、僕のことは分からない」
「な、なによっ」



 まるで境界線を引くように、ユキは私を拒絶した。鋭い視線は私を牽制する。
 ……確かに私には、毎日違う人間と寝てまで温もりを探すその気持ちは分からない。でも、でも……。


 冷たい風が吹く。静かに降り積もっていた雪がブワッと舞い上がった。



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