愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
「まさかの乗り過ごしっ……!!」
自分の駅を二駅過ぎたタイミングで目が覚め、ホームに飛び出す。
扉が閉まり去って行く終電を眺めながら絶望感に浸る。ここから歩いて帰ろうとしたら、軽く2時間以上掛かる……。
それにこの駅は、近くにコンビニどころか交番さえない寂れた無人駅。
しかもお金もないしスマホの充電もない。おまけに今日は夜中に雪が降る予報。
たった今、時刻は23時を回ったところだし……。
「詰んだ……」
駅から出ると、分かってはいたが人気も何もない。
今にも切れそうな街灯がバチバチと点滅しているその光景に足元がふらついた。
辛うじて駅前にあった木製のベンチに腰掛けて、頭を抱える。
吐いた息が白い煙となり、空気に溶けていく。