愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
「嫌われてなくてよかった」
「ケンカしたくらいで大げさなのよ」
「僕にとっては大きなことだったの。とにかくよかった……ほら、早く帰ろ」
手を引かれ、穴から出ると雨は止んでいた。
ユキは腕を上げ、うーんと背伸びをするとこちらを振り返る。
「でも、春香のそのなんでも一人でこなすところはパワフルでいいと思う。でも疲れた時はちゃんと言ってね」
「……いいところ?可愛くないだけよ」
「そんなことないよ、僕はそんな春香がいいと思う」
「……そう」
ユキの言葉が胸に沁みた。
私は私を好きでいていい、自然とそう言われた気がした。
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