愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
僕の自宅の周りは夜になると人通りが少なく、最寄駅の無人駅には人っ子一人いない。
タクシーも通らないため、寝床がある駅の向こうのマンションまで徒歩で行かなくてはならない。
モッズコートに顔を埋め、足を進める。
「……本当に、もう降りそうだ」
見上げれば、空を雪雲が覆っていた。去年の初雪はもっと遅かった気がするのに……。
古びた街灯がチカチカと点滅する暗い夜道をひたすら歩き、無人駅に差しかかろうとした、そのとき。