愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




「……きれいな黒髪だったな」



 僕の寝床になってくれる人で、あんなにキレイな黒髪で、真面目そうな人はいない。


 みんなどこか投げやりで、孤独な人も多い。それでも、温もりさえくれたらそれでいいと思っていた。


「きっとあの人と僕は、住む世界が違う」



 あの人は、真面目に仕事をして、仲の良い友達とご飯を食べたりして、温かい家に帰って眠るような、きっとそんな当たり前な日常を過ごす人。


 だけど、今日はその日常から外れてしまい、途方にくれているのかもしれない。


 身体は自然とその場から引き返していた。


 ベンチに座るその人の前に立ち、声を掛ける。顔を上げたその人の目を見て息を飲んだ。


 その人は、僕の予想に反した、どこか寂しそうな目をしていたから。



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