消えた未来
◆
『学校に行くのは許可できない』
皇先生のそれに対して、俺が言ったわがままは、簡単に聞いてもらえるものではなかった。
「おい、侑生。今の話、ちゃんと聞いてたか」
俺のわがままを聞いた先生は、当然、頷かなかった。
「聞いてたよ。でも、一日だけ許してほしい」
それでも俺は、引き下がらなかった。
「自分の体がどういう状態かわかっていないのか? 今無理をすれば、危ないって言ってるんだ」
先生の口調が次第に強くなる。
それだけ自分は死にかけているんだと思った。
「……嫌なんだよ。あの人になにも言えないまま死ぬのは」
死ぬのはずっと怖かったけど、今までとは比にならないくらい、織部さんに別れを言わずに死ぬことが怖かった。
「侑生、もしかして好きな人でもいるのか」
「はあ?」
自覚していなかったから、そう返した。
「違うから。友達だよ」
「友達ねえ」
怒りの感情はどこにやったと思うくらい、からかう気しかない顔をする。
俺からしてみれば面白くないから、子供のように拗ねた。
「わかった。ただし、条件がある。行くのは、確実に話ができる昼休みだけ。話すとしたら、すぐにフォローできる保健室。それでいいか?」
「もちろん」
学校に行くというわがままを聞いてもらっていながら、これ以上望むことはなかった。
『学校に行くのは許可できない』
皇先生のそれに対して、俺が言ったわがままは、簡単に聞いてもらえるものではなかった。
「おい、侑生。今の話、ちゃんと聞いてたか」
俺のわがままを聞いた先生は、当然、頷かなかった。
「聞いてたよ。でも、一日だけ許してほしい」
それでも俺は、引き下がらなかった。
「自分の体がどういう状態かわかっていないのか? 今無理をすれば、危ないって言ってるんだ」
先生の口調が次第に強くなる。
それだけ自分は死にかけているんだと思った。
「……嫌なんだよ。あの人になにも言えないまま死ぬのは」
死ぬのはずっと怖かったけど、今までとは比にならないくらい、織部さんに別れを言わずに死ぬことが怖かった。
「侑生、もしかして好きな人でもいるのか」
「はあ?」
自覚していなかったから、そう返した。
「違うから。友達だよ」
「友達ねえ」
怒りの感情はどこにやったと思うくらい、からかう気しかない顔をする。
俺からしてみれば面白くないから、子供のように拗ねた。
「わかった。ただし、条件がある。行くのは、確実に話ができる昼休みだけ。話すとしたら、すぐにフォローできる保健室。それでいいか?」
「もちろん」
学校に行くというわがままを聞いてもらっていながら、これ以上望むことはなかった。