消えた未来
◆
翌朝、教室に入ったら、久我君はもう来ていた。まだ眠たいのか、うつ伏せになっている。
いつまでも久我君の前に座るのには慣れなくて、緊張しながら椅子を引く。今日にいたっては、睡眠の邪魔をしてはいけないと、余計に慎重になる。
「なあ」
私の緊張はどうやら無駄だったみたいで、久我君は体を起こしていた。
久我君の周りには私しかいないから、私に声をかけたみたいだ。
「士があんたのこと心配してたけど、昨日なにがあった?」
どう答えればいいのか、わからなかった。
素直に言ってもよかったけど、なんとなく、やりたいことの見つけ方や久我君のことを話していたなんて、知られたくなかった。
「士と話したのって、あんただろ? ちゃんと名乗ったらしいし」
答えなかったから、私が心当たりなくて困っていると思ったのか、そう確認された。
ここで反応しないということはできないから、小さく頷いた。
「どうやってやりたいことを見つけたらいいか教えたら、落ち込んで帰ったって。士、自分が悪いことをしたと思ってた」
全部知ってて、あんな質問をしたのか。私の悩んだ時間を返してほしい。
「士君は関係ないです。ただ」
今度は、お母さんのことを話すかどうかに悩み、言葉を止めてしまった。
翌朝、教室に入ったら、久我君はもう来ていた。まだ眠たいのか、うつ伏せになっている。
いつまでも久我君の前に座るのには慣れなくて、緊張しながら椅子を引く。今日にいたっては、睡眠の邪魔をしてはいけないと、余計に慎重になる。
「なあ」
私の緊張はどうやら無駄だったみたいで、久我君は体を起こしていた。
久我君の周りには私しかいないから、私に声をかけたみたいだ。
「士があんたのこと心配してたけど、昨日なにがあった?」
どう答えればいいのか、わからなかった。
素直に言ってもよかったけど、なんとなく、やりたいことの見つけ方や久我君のことを話していたなんて、知られたくなかった。
「士と話したのって、あんただろ? ちゃんと名乗ったらしいし」
答えなかったから、私が心当たりなくて困っていると思ったのか、そう確認された。
ここで反応しないということはできないから、小さく頷いた。
「どうやってやりたいことを見つけたらいいか教えたら、落ち込んで帰ったって。士、自分が悪いことをしたと思ってた」
全部知ってて、あんな質問をしたのか。私の悩んだ時間を返してほしい。
「士君は関係ないです。ただ」
今度は、お母さんのことを話すかどうかに悩み、言葉を止めてしまった。