消えた未来
第八話
◆
病気だとわかったのは、小学四年生の秋だった。
当時、夏ごろに両親が離婚した。
俺は母さんについて行くことになって、まず最初に言われた。
「ごめんね、侑生。これからはお母さんと二人になるの。今までより大変な思いさせるかもしれないけど、一緒に頑張ろうね」
そのときの、母さんのつらそうな顔を見て、子供ながらに、母さんを困らせないようにしようと思った。
子供というのは単純で、親を困らせないというのは、わがままを言わないことだと思っていた。
だから俺は、少しずつ、我慢をするようになった。
体調不良を黙っていたのも、そのうちの一つだった。
夏の暑さが消えていったころ、俺は腹の痛みに耐えるようになっていた。
どれだけ痛くても、母さんには言わなかったし、学校を休むこともなかった。
そして、一ヶ月くらい経ってから、限界を迎えた俺は、学校で倒れた。
腹は痛いわ、母さんに迷惑かけるわで、俺は保健室のベッドの上で声を殺して泣いた。
でも、先生も母さんも、痛くて泣いているんだと勘違いして、そのまま病院に連れて行かれた。
診察を受けて、言われた。
「二十歳まで生きられるか、わかりません」
小学四年の俺には、その意味がわからなかった。
病気だとわかったのは、小学四年生の秋だった。
当時、夏ごろに両親が離婚した。
俺は母さんについて行くことになって、まず最初に言われた。
「ごめんね、侑生。これからはお母さんと二人になるの。今までより大変な思いさせるかもしれないけど、一緒に頑張ろうね」
そのときの、母さんのつらそうな顔を見て、子供ながらに、母さんを困らせないようにしようと思った。
子供というのは単純で、親を困らせないというのは、わがままを言わないことだと思っていた。
だから俺は、少しずつ、我慢をするようになった。
体調不良を黙っていたのも、そのうちの一つだった。
夏の暑さが消えていったころ、俺は腹の痛みに耐えるようになっていた。
どれだけ痛くても、母さんには言わなかったし、学校を休むこともなかった。
そして、一ヶ月くらい経ってから、限界を迎えた俺は、学校で倒れた。
腹は痛いわ、母さんに迷惑かけるわで、俺は保健室のベッドの上で声を殺して泣いた。
でも、先生も母さんも、痛くて泣いているんだと勘違いして、そのまま病院に連れて行かれた。
診察を受けて、言われた。
「二十歳まで生きられるか、わかりません」
小学四年の俺には、その意味がわからなかった。