消えた未来
「……どうして?」

 喧嘩腰にならないようにと思っていたはずなのに、それを一瞬で忘れ、不服そうに言ってしまった。

 また星那が拗ねた表情をするかと思えば、私まで苦しくなるほど、悲しそうな目をしていた。

「真央がつらい思いをするってわかってて、応援できないよ」

 言葉が出なかった。

 これこそ、なんて言ったらいいのかわからなかった。

 理由なんて、聞かなくてもわかる。

 むしろ、直接的な言葉にしてほしくなくて、確かめようとも思わなかった。

 それにしても、星那のほうが久我君がいなくなる現実を受け止めているように感じる。

 そのせいか、星那と話していたら、嫌でもそれを実感させられる。

 そのたびに、その事実を拒絶しようとしているから、もう久我君を好きだって認めるしかないんだと思った。

 それと同時に、星那が言おうとしている現実が待っているのだと思うと、やっぱり好きじゃない、なんて思い込もうとしていた。

 だけど、久我君への想いを完全になかったことにはできそうもなかった。

「真央……?」

 星那に呼ばれて、泣きそうになっている自分に気付いた。

 道の真ん中で泣きたくなかったから、隠すためにも星那に抱きついた。

 星那が困惑している声が聞こえてくるけど、さらに星那を強く抱き締めて、余計に困らせてしまった。
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